古典的TRIZと
I-TRIZの各種手法と
他の現代版TRIZの各手法との比較一覧
2015.07.27
古典的TRIZと現代版TRIZの代表であるI-TRIZと他の現代版TRIZとの違いを整理しました。
古典的TRIZ
手法名 | 適用分野等 | 開発者 運用機関 | 主たる 構成要素 | 構成要素の概要 | ソフトウェア |
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古典的TRIZ | 発明的問題解決 (技術的難問の解決) |
ゲンリフ・アルトシューラ MATRIZ(国際TRIZ協会) |
ARIZ | 発明的問題解決アルゴリズム (ARIZ) は、技術システムが発展・進化してゆく変化のあり方に内在する法則性をより所として、発明級の難問を分析し解決することを目的としたアルゴリズム形式の複合的な手順である。 ARIZは技術難問解決理論 (TRIZ) とともに生まれ、発展してきた。 |
なし |
物質-場分析 | 最も簡単な技術システムを構成する要素は、制御される物体:S1と働きかける道具:S2との二つの物体、それらの相互作用に必要なエネルギ(場)Fを加えた三つであるとして、それらの関係から技術システムの特性を明らかにする。 | ||||
技術的矛盾 | 技術的矛盾とは、あるシステムおいて、ある有益な作用が同時に有害な作用を引き起こすというような状況、あるいは、有益な作用を新たに導入する、または有害な作用を排除することがシステムのなんらかの部分ないしはシステム全体にとって悪い影響を引き起こすといった状況をいう。 技術的矛盾を解くツールとして、矛盾マトリックスと発明原理がある。 |
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物理的矛盾 | 物理的矛盾は、「動くように・動かぬように」、「熱いように・冷たいように」など、その本質としてある一つのモノに対して二重の要求を突きつけられる状況をいう。 物理的矛盾を解くためのツールとして、発明標準解がある。 |
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賢い小さい人(SLP) | 何でもできる「賢い小さい人(SLP)」の行動によって、そのシステムの中の矛盾を変化させ解消させることを想像し、その結果を現実の技術的状況に置き換えるとどうなるかを考える。 | ||||
システム・オペレータ | システムの階層レベル、時間(歴史的時間、ライフサイクル、プロセスの段階)、正・反のレベルの3つの観点で観察することで、システムを大きな視野で捉える。 一般には「9画面法」として知られているが、実際にはシステム階層軸と時間軸は無限の広がりがある。 |
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技術システム進化の法則 | 技術システムは、生物システムが進化する過程に見られるのと似通った、それぞれの特徴を持った進化の諸段階をたどって進化してゆく。 1.システム各部の完全性の法則 2.システム「エネルギー伝達性」の法則 3.システム各部のリズム一致の法則 4.システムの理想性レベル向上の法則 5.システム各部の進化不均衡性の法則 6.上位システムへの移行の法則 7.マクロレベルからミクロレベルへの移行の法則 8.物質・場レベル向上の法則 |
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効果集(イフェクツ) | 問題解決に応用可能な物理的効果を用途(機能)別に整理したものが最初でしたが、その後、化学的効果集、幾何学(形状の)効果集その他の様々な効果集が作られるようになった。現在のTRIZコミュニティーではこれらを一括して単に「Effects」(=効果集)と呼ぶのが普通である。 |
現代版TRIZの代表であるI-TRIZ
手法名 | 適用分野等 | 開発者 運用機関 | 構成要素の概要 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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I-TRIZ (Ideation TRIZ) |
明確に定義された課題の実現 | アイディーション・インターナショナル社 アイディエーション・ジャパン(株) |
課題を解決する上で、最も重要な「問題の情報把握」を行なうために、一連の質問(理想的な状態、システムとその環境に関連する資源、システムを変化させるうえでの制約と制限、評価基準など)に答えることで問題の状況を明らかにすることを目的としたISQ(Innovation Situation Questionnaire: 問題情報把握)がある。これは、I-TRIZのすべての手法に共通したものである。 * I-TRIZは、以下の各種手法によって構成されている。 |
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他の現代版TRIZ
手法名 | 適用分野等 | 開発者 運用機関 | 主たる 構成要素 | 構成要素の概要 | ソフトウェア |
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OTSM-TRIZ | 複数分野に関わる複雑な問題の解決 OTSMはゲンリフ・アルトシューラが古典的TRIZの次の進化ステップを表現するために用いた言葉の頭文字を並べた略語です。 |
ニコライ・ホメンコ | ENVフラクタル・モデル E(要素)、N(属性名)、V(属性値) |
要素の名前とその特性のリストを系統図としてまとめる。 (例)とまと=赤い(色)、丸い(形)、うまい(味)/甘さ、塩辛さ、・・・、・・・ |
不明 |
問題フローネットワーク・アプローチ | 最も複雑な問題状況に対処するために開発された問題レベルを特定し、部分的な解決策群、部分をまとめた解決策群、最終的にまとめた解決策群を考えていく。 | ||||
問題/解決策ネットワーク | フラクタル・モデルを現実の問題に適用するためのネットワークモデル。 | ||||
矛盾ネットワーク | ARIZ85Cの矛盾解決法を採用するためのネットワークモデル。 | ||||
パラメータ・ネットワーク | 現実の世界→解決策ネットワーク→矛盾ネットワーク→パラメータ・ネットワーク(特性ネットワーク)、と段階的に解明していくことで解決すべき問題を明確にする。 | ||||
「トングス」モデル | 問題状況を日常的な言葉で表現された改善を要する状況から、矛盾の形態に捉え直す。 最も望ましい結果を実現することを妨げている根本矛盾を明らかにする。 |
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金魚法 | 不可能なのは何か。どのような条件があればそれが可能になるかを考えることを通じて、現実の状況における「最小問題」(矛盾)を特定する。 どのような客観的(物理的)法則が制約となって「不可能」が生じているかを特定する。 |
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GEN3-ID | 少なくとも一つの主要価値特性の大きな改良を目指す体系的革新手法 | GEN3パートナー | 主要顧客価値パラメータ(MPV) | 顧客から本当に求められているのはどんな特性(主要顧客価値 :MPV) を改善することなのかを判定する。 | TRIZplus G3-ID |
ステークホルダー・マッピング | ステークホルダーのグループと各ステークホルダーが持つニーズならびに克服すべき制約を明らかにする。 | ||||
目的-手段ツリー | 主要ユーザー価値 (MPV) と製品の機能的・物理的諸特性とをつなぐ手段として、目的-手段ツリーを作成する。 | ||||
ベンチマーキング | 新しいモノを作る際に、改良対象として選択された競合や他業種の最適なモノの特徴を移植する。 | ||||
機能分析 | 対象のモノの構成要素の機能と対象のモノの機能との結びつきの関係を明らかにする。 | ||||
フロー分析 | 改良対象システムのフローモデルを作成し、工程上のボトルネックを発見する。 | ||||
因果連鎖分析 | システムの作用の結果として生じる有害作用同士の原因と結果モデルを作成し、重要な有害作用の発見して生じている様々なプロセス間の相互の結びつきを理解する。 | ||||
矛盾発見と矛盾解決 | 技術的矛盾と物理的矛盾を発見し、資源を活用して矛盾を解決する。 | ||||
物質-場分析 | 対象システムの物質-場モデルのタイプに応じた標準解を適用する。 | ||||
効果集(イフェクツ) | 効果集(物理的、化学的、幾何学的、生物学的効果)を使った問題解決を図る。 | ||||
進化のトレンド | 物質、技術的な物、技術プロセスの進化に見られる法則性を使った問題解決を図る。 | ||||
トリミング | 機能的理想モデルを作成した結果として表面化する課題を発見し、相互間の軋轢が最も大きい要素、プロセスの発見とそれらの排除する。 | ||||
二次的問題の解決 | 解決案に付随する顕在的・潜在的な欠点そのものを二次的な問題ととらえて、その二次的な問題を解決することで実現可能性を向上する。 | ||||
ビジネスインパクトの企画 (事業企画) |
ビジネスインパクトのある解決策(製品、サービスなど)を発見する。 | ||||
IM-TRIZ | 知識情報と問題解決プロセスを融合したイノベーション・プラットフォーム | インベンション・マシーン社 | デバイス(プロダクト)分析 | 事象・設計・システム等の問題点を発見し改善検討するための手法。対象とするモノを、それを構成する機能に分解し、機能の連鎖の形で視覚化した「デバイスモデル(機能モデル)」を利用する。 | TOPE G-FIN |
プロセス分析 | 業務や製造工程などのプロセスを理解し、改善検討するための手法。対象とするプロセスをサブプロセスやステップに分解し、それらの相互関係を考慮しながら視覚化した「プロセスモデル」を利用する。 | ||||
フュチャー・トランスファ(特徴転用) | オブジェクトがもつ最良の特徴を集めて一つのオブジェクトにまとめること、またはあるオブジェクトがもつある特徴を、機能は同じながら性能のすぐれた他のオブジェクトの特徴と入れ替える。 | ||||
特許事例検索 | 知識データベース検索に比べ、対象特許庁を指定する機能や、自然言語検索に加え、Boolean検索機能もついており、より特許検索に適した検索が可能である。 | ||||
プレディクション(進化の法則) | 技術システムが発展する標準的な方法に基づき、技術的な課題について可能な解決策を探す。 | ||||
知識ベータベース検索(意味検索) | 世界各地に点在する技術情報データベース(約1,100の技術情報サイト)の最新の情報(毎月20万件追加中、2011年9月時点で約5,800万件の特許・技術情報を網羅している)を意味による検索機が可能である。 | ||||
機能モデル | プロダクト、構成要素、スーパーシステム要素、ならびに各要素間に働く作用リンクを追加することにより、プロジェクトに対する機能モデルを作成する。プロダクト、構成要素、スーパーシステム要素をつなぐ各作用について分析を行う。 | ||||
根本原因分析(G-FIN) | 不具合や事故などの原因をツリー構造で分析し、根本的な原因を明らかにすることを目的とする手法で、いわゆる「なぜなぜ分析」である。系統的に製品の不具合の要因を網羅していくFTAなども同様な手法として知られている。 | ||||
予測的故障分析(FMEA:故障モード影響解析)(G-FIN) | 製品やプロセスの設計における潜在的な問題を見出すために、設計を構成する各要素と、各要素に生じうる不具合(故障モード)を列挙し、その影響を検討する。 | ||||
トリミング | 問題のある構成要素やコストの高い構成要素を削除し、その有用機能を異なる構成要素に移行することにより、工学システムを改善する。 | ||||
ベンチマーキング機能(G-FIN) | 複数のアイデアがでた場合、システムベンチマーキング機能で、評価をすることができる。 | ||||
特許侵害の回避、新規設計 (G-FIN) |
知的財産障壁を越えるために、知的財産を侵害しない代替技術の検討を行う。 1.特許の自由実施領域を確保し、実施料支払いの回避を図る。 2.既存の知的財産を利用して新規設計を検討する。 2.請求項を生成するために利用できる新規知的財産のモデルを作成する。 |
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既存技術に対する新規市場調査 (G-FIN) |
新規市場に適用するための技術の潜在能力と市場機会の特定をする。 1.特定されたコアコンピタンスのリストを作成する。 2.潜在的な市場機会のリストを作成する。 3.市場領域に対する潜在的な顧客、パートナーおよび競合のリストを作成する。 |