DE(次世代商品・サービスの提案、企画)と他の類似手法との比較一覧

2015.07.27
次世代商品・サービスの提案、企画に関わる代表的な手法を列挙しました。(* I-TRIZの手法については背景色をラベンダー色としています。)
手法名適用分野等開発者
運用機関
手法の概要手法の手順I-TRIZと比較した利害得失
DE
(Directed Evolution)
次世代商品・サービスの企画提案 2001年
アイディーション・インターナショナル社
アイディエーション・ジャパン(株)
潜在的な進化のシナリオやトレンドをまとめた「進化の可能性に関する情報バンク」や人工システムが歴史を通じて発展してきた過程に何度も繰り返して観察される強い傾向をまとめた「進化のパターン/進化のライン」を利用することで、対象として選択したシステム(製品、技術プロセスなど)を新しい世代のシステムへと進化させる企画の立案作業を支援する。
対象システムが望ましい状態で発展する姿、その過程で生じるおそれのある否定的な状況、ならびにそうした状況を回避し逆にそこから何らかの肯定的な作用を引き出す方策を示した実現可能なコンセプト群を得ることによって一つのゴールに到達します。
これまでにまとめたコンセプトを実行に移した後に、対象システムの今後の発展の過程で順次現実に発生すると考えられる進化上の事象の系列を、使うことのできる資源と、考えられる条件に基づいて予測し、出現順序に従って整理した「進化のシナリオ」を作成する。
1.プロジェクトの目的を設定する
2.システムの過去情報の収集と解析
(1)進化史上の主な事象と、それらの間の相互関係を明らかにした歴史マップを作成する
3.次の進化ステップの予測と問題抽出
(1)進化を阻害する主な力や制約を明らかにする
4.アイデア出しとコンセプト生成
(1)問題の状況を表した因果関係モデルを作成する
(2)方向付けられた進化の指針と、問題解決の指針を得て、指針に沿ったアイデアを創出する
5.進化シナリオの作成
(1)たどり着くゴール、必要な条件、現実的な方法を明らかにする
(2)必要となる資源を明らかにする
(3)進化上の問題を明らかにし、方策案を準備する
(4)必要な知的財産の保護の方策を講じる
6.行動計画の作成と実行
(1)パイロット・プロジェクトの計画
(2)システムの進化をサポートする
①計画からの逸脱の予測
②システムの進化状況の継続的モニタリング
③計画(システムの進化シナリオ)の修正
新商品・サービスの企画を提案するには、現在のところ、I-TRIZの「戦略世代進化(DE)」を使って「進化のシナリオ」を作成する方法以上に説得力のある手法はない。
ただし、その考慮しなければならない範囲が膨大であるため、「発明的問題解決(IPS)」のように、数カ月で結論を出すことはできない。
「戦略世代進化(DE)」の場合には、トライアルでも6カ月程度、正式には1年程度の時間を必要とするプロジェクトになる。
ソフト・システムズ方法論 複雑な問題の解決技法 1970年代半ば
ピーター・チェックランド
ジム・スクールズ
混沌とした状況を単純化や抽象化によってではなく、「意味」、「コンセプト」をキイとして、それぞれの状況の複雑さやユニークさを尊重しながら、「探索・学習型」アプローチによって本質に迫り、状況の革新を追及する。 1.問題的であると考えられる問題状況
2.表現された問題状況
3.関連する意図的活動システムの基本定義(RD)
RDは「ZのためYによってXするシステム(仕組み)」という形式の文章にする。システム(X)、手段(Y)、目的(Z)を明らかにする(XYZ分析を行う)。
4.基本定義に名付けられたシステムの概念的活動モデル
(1)顧客(C)、アクター(A)、変換プロセス(T)、世界観(W)、所有者(O)、環境的制約(E)を明らかにする
(CATWOE分析)。
(2)因果関係モデルを作成しながら「どのような活動をすれ」ば、RDを実現できるかを考える。
5.モデルと現実世界との比較
6.変革:システム的に望ましく、文化的に実行可能
7.問題状況を改善するための行為
問題を機能同士の因果関係で捉える点は、I-TRIZのプロブレム・フォーミュレーション(PF)と同じである。
DTCN
(Design To Customer's Needs)
問題解決と課題実現のための知識から知恵を作り出す方法 1978年
江崎通彦
(1)問題と課題の関係を明解にし、
(2)目的には上位目的と目標レベルの目的があるが、その区分を明解にし、
(3)「意思決定のプロセス」という言葉と「意思決定」という言葉の違いを明解にし、
(4)PM(プロジェクトマネジメント)とSE(システムズエンジニアリング)の関係を的確・簡潔に説明し、
(5)意思決定の・判断のメカニズムについて、決め手になる説明を行い、
(6)知識から知恵を創りだす方法を具体的な手順として整理し、
(7)ナレッジマネージメントの方法によって知恵を創りだす方法を知識として確立する。
知識から知恵を創り出すために、以下の7つの基本手法を使う。
1.PMDの方法(課題を実現するための意思の方向とあるべき姿を表わす)
2.ステップリストの方法(行動の手順書)
3.FBSの方法(あるべき姿の内容の構造・構成)
4.WBSフェージング・テーマ・テクニック
(討をするべきテーマを事前抽出する)
5.3-5フェーズ・インプルーブメントの方法
(ステップリストの補助手法)
6.ROメッソド(体制づくりの方法)
7.実施計画書の方法
組織の改革が必要な場合には、問題にしている組織だけではなくその組織に関係のある資源についても考慮しなければならない。
そのような、問題領域の大きなシステムの問題の場合には、「DTCN」のような体系的な思考プロセスが有効である。
I-TRIZによって得られたコンセプトを実現する場合に、「DTCN」の一部を付加的に利用することは有効である。
デザイン思考 人間主体の発想でイノベーションを起こし、社会に新たな価値を提供する IDEO社
ティム・ブラウン
スタンフォード大学D.school

1987年
P.G.ロウ
『デザインの思考過程』(Design Thinking 1987年)
慶応大学
人々の生活や価値観を深く洞察し、ユーザーが何を潜在的に求めているのかを感知しながら、プロトタイピングを通じて、新しいユーザー体験を提供するイノベーション・プロセス"である。 1.共感する
(1)観察する(ユーザーの振る舞いを見る)
(2)関わる(ユーザーと交流・インタビューをする)
(3)没頭する(ユーザー体験をと自分でも体験する)
2.問題定義
共感して発見した説得力のあるニーズとインサイトを分解・統合し、具体的で意味のある挑戦を選び出す
3.アイデアを発想する
理想の状態にたどりつくことを支援するアイデアを生み出す。
4.プロトタイプを作る
生み出したアイデアを実際に形にすることで、うまくいきそうな部分を確認したりさらにアイデアを得るきっかけにする。
5.アイデアを評価する
本当に目的を達成できるのかどうか、ユーザーの声
を元にアイデアを検証する。
デザイン思考ワークショップに参加しても、イノベーションは生まれない。それはあくまで手段である。重要なのは「何のために」、という目的である。自分が何かやりたいという思いをもとに、それを超えて(究極には共通善に向けて)社会や世界をよりよく変えて行こうという目的意識である(2014年2月27日のJIDA(日本インダストリアルデザイナー協会)フォーラム「デザイン思考のデザイン」紺野登氏の基調講演の草稿)。
「デザイン思考」では、アイデアを発想する際に使用するツールが単なるブレーンストーミングである。イノベーション・プロセスを謳うにしては心細い。
「デザイン思考」のアイデア発想の生産性を向上させるためには、I-TRIZを大いに採用するとよい。
ブレークスルー思考 新たな思考パラダイムのためのハイブリッド思考エンジン 1990年
ナドラー
日比野省三
日本企画計画学会
研究アプローチまたは分析アプローチと知られている従来の思考プロセス(デカルト思考)は、特定分野の問題を解決するものにすぎなった。デカルト思考は、要素還元論による真実・事実を求めるパラダイムなので、「解決策は無限にある」という思考がない。
変化の激しい現代においては、「過去の延長線上に未来はない」ため、「物事の本質・根本に戻って考える」というパラダイムが求められる。根本に立ち戻り、「どうあるべきか」を考え、「未来から学びながら」「今何をすべきか」を問う時代になってきた。解決策探索の根本は目的であり、目的(根本)は人間の認識によって変わる。
新たな思考パラダイムは、(1)ユニーク差の原則、(2)目的展開の原則、(3)未来から学ぶ「あるべき姿」の原則、(4)システムの原則、(5)目的「適」情報収集の原則、(6)参画・巻き込みの原則、(7)継続変革の原則、の7つの原則にまとめられる。
1.考え抜き(根本を問う)
(1)参画・巻き込みの原則を用いて、集合天才を創る
(2)ユニーク差の原則を用いて、場の設定を決める
(3)目的展開の原則を用いて、場の視点から目的・根本を探索し、着眼する目的(根本)を決める
(4)価値観、物差し、目標値を設定する
2.拡げ抜き(あるべき姿を探求する)
(5)未来から学ぶあるべき姿の原則を用いて
、アイデアを展開しアイデア部品を出す
3.まとめ抜き(現実に実行可能にしていく) (6)着眼目的、価値観、物差し、目標値を達成するように、アイデア部品をまとめて、新しいコンセプトを創る
(7)システムの原則を用いて、仕組みを創る
(8)目的「適」情報収集の原則を用いて、解決策を創り、実行・実現するために必要な情報を最小限に集める
4.やり抜く(実現し、成果を出す)
(9)ブレークスルー思考を使って、アクションプランを作り、実行する
(10)継続変革の原則を用いて、「次の手」を組み込み、「次の手」を打つ
「ブレークスルー思考」の威力は、目的展開によるターゲットとする目的を明確にしているところからきている。
I-TRIZの発明的問題解決(IPS)では、現実に問題を抱えているシステムについて検討するため、機能同士の原因と結果に注目している。
I-TRIZの戦略的世代進化(DE)では、未だ存在しない次世代の商品・サービスを提案する必要性から、機能同士の目的と手段に注目する。その際に、目的展開を行うことになる。
「ブレークスルー思考」では、アイデア発想を支援するツールとして、異分野の知識を積極的に利用する「比較発想法」と同様の思考プロセスを採用している。
「ブレークスルー思考」のアイデア発想の生産性を一層向上させるために、I-TRIZを採用するとよい。
TOC思考プロセス
(Theory of Constraints/ Thinking-Process)
目標実現のための体系的な問題解決アプローチ 1990年代前半
ゴールド・ラット
日本TOC協会
組織が目的達成に向けて活動するうえでの本質的な問題を発見し、それを解決した""あるべき姿""を描き、それを実現するためのプランを策定する体系的な問題解決アプローチである。
何を変えるか?:変えなければならない本質的な問題を見つける。
何に変えるか?:「何を変えるか?」で見つけた本質的な問題に対する解決策を見つける。
どのように変えるか?:「何に変えるか?」で見つけた解決策を実行するための計画を策定する。
1.「何を変えるか?」を見つけるために、「現状構造ツリー」を作成する。
2.「何に変えるか?」の手段を決めるために、「対立解消図」を作成する。
3.2の手段を採用した結果を予測するために「未来構造ツリー」を作成する。
4.「どのように変えるか?」という段階で、最終的に決定した解決策を実行のための「前提条件ツリー(ロードマップ)」を作成する。
5.ロードマップに沿った解決策の実行計画である「移行ツリー」を作成する。
I-TRIZの各種手法(発明的問題解決(IPS)、不具合対策(FA、FP)、知的財産権制御(CIP)、次世代商品、サービスの提案(DE)、人、組織・経営問題(KW))に共通に使用されるツールとして、因果関係モデルがある。
「TOC思考プロセス」で使用されている各種ツリーは、機能同士の目的と手段または原因と結果を表しており、主に人や組織の問題を解決するために使用される。
I-TRIZで使用している因果関係モデルは、適用分野ごとに最適な解決指針が提示される点に特徴があるので、I-TRIZのKWが「TOC思考プロセス」を進化させ得る。
シナリオ・ライティング 描写性とストーリー性を付与した、理解しやすい技術予測手法 2000年
ハーマン・カーン
時間順序的および同時的な一連の事象を論理的に、しかも各事象のタイミングと相互関連を書き表したもの。特定の事象が将来においてどのような影響をもつようになるかを、影響を受ける要因群を整理し、それらの変化状況を物語風に描写する未来予測手法のひとつ。
オペレーション・リサーチ(OR)やシステム・アナリシス(SA)などの量的展開に、質的変化とストーリー性を加味する場合に使用される。
(1) シナリオを目的を明らかにする
①今後の環境変化の描写
②環境変化への対応策の描写
(2) シナリオのケースを明確にする
楽観的、中間的、悲観的シナリオ(通常は中間的)
(3) 主題を明確にする
①シナリオを読む対象者は誰か
②何を訴えたいか
(4) 舞台の設定
①いつ ある断面の一日、あるいは何日か
②登場人物(年齢、性、職業、・・・)
(5) 興味を持たせる工夫
トリック、ユーモアを散りばめる
定量的なオペレーション・リサーチ(OR)やシステム・アナリシス(SA)の欠点を補う、定性的な技法としてシナリオ・ライティングが作られた。
ストーリー化することで人と物、人と環境といった数量化できない要素の問題点などが発見され、作戦立案に有効だったと言われている。
いかに過去のデータの解析に優れていても、過去のデータに含まれない、時代の潮流、産業構造の変化、消費者市場の変化、供給側の変化などの要因が常に存在するため、複数のシナリオを作成することで対応せざるを得ない。
I-TRIZの「戦略世代進化(DE)」も、最終的にはコンセプトを実現した後に起きるであろう事象に対応するための「進化のシナリオ」を作成することになっている。
未来洞察 不確実な未来を洞察し、活用するための方法論 2000年
英国ビジネス・フューチャーズ・ネットワーク社
博報堂
日本総合研究所
1970年前後に米国スタンフォード・リサート・インステイテュートにおいて開発された「スキャニング」という不確実で非連続な「未来の芽」を「広く浅く」観る手法が未来洞察が開発されたきっかけであるという。
現在の社会や市場の姿とは異なる未来、現在の延長線上には無いものの起こりうる未来のストーリー(未来像)を描き、自社の事業や戦略に落とし込む(未来デザイン)ことでイノベーションを起こす。
未来洞察の最大の特徴は、「変化の兆し」と考えられる情報のデータベースを使ってスキャニング法を行う点にある。
地域・分野を問わず新聞・雑誌の記事に目を通し、「これは非連続な変化の兆しではないか」と感じた記事をピックアップし、タイトルと要約コメント(非連続な変化のポイント)をつけてデータベース化がなされている。これらの非連続な変化の「兆し情報」を「スキャニング・マテリアル」といい、これらが想定外の未来を描く際の素材となる。
1.延長線上の未来を描く(インサイド・アウト発想)
対象とするテーマに関連する分野のトレンドや、 将来の実用化が期待されている研究開発中の技術などについて社内外の情報を幅広く収集し、未来イシューを見出す。
PEST分析/SEPTEMber
SWOT分析、ヒストリー分析
2.想定外の未来を描く(アウトサイド・イン発想)
複数のスキャニング・マテリアルに共通する潮流や変化の方向性を読み、想定外未来の変化仮説をまとめる。
3.不確実性を考慮した未来の機会を強制的に見出す(アブダクション)
未来イッシューと想定外未来変化仮説との強制的な掛け合わせを「未来洞察マトリクス」上で行い、未来シナリオのアイデアを考える。
4.未来の機会を評価する(顧客価値視点・企業価値視点)
(1)それぞれの未来シナリオが業界や自社にとってどの程度のインパクトがあるか、それぞれの未来シナリオの実現可能性はどの程度か、といった視点で評価する。
(2)それぞれの未来シナリオの顧客にとっての機会の革新性と機会の受容性の視点で評価する。
5.未来シナリオに基づいて戦略や事業を設計する
インサイド・アウト発想から得られる「未来イシュー」とアウトサイド・イン発想から得られる「想定外社会変化仮説」をそれぞれ独立したステップから導くことで、現状視点の認知バイアスを回避することができるように工夫されている。
未来シナリオが決定した後の戦略や事業の設計については、既存のマーケティング手法を使って実現するということで、具体的な方法論の解説はない。
シナリオやコンセプトの具体化については、他のイノベーション手法についても詳しい説明はなされていない。
ここは、1→100の世界ということで既存の商品・サービスの開発手法を採用することになる。たとえば、設計者の思考プロセスを体系化した、顧客価値→コンセプト→機能→機構・構造といった流れで思考を展開する「思考展開図」を使う方法が効果的であろう。
DE
(Directed Evolution)

(最上段の記載内容を繰り返し表示しています。)
次世代商品・サービスの企画提案 2001年
アイディーション・インターナショナル社
アイディエーション・ジャパン(株)
潜在的な進化のシナリオやトレンドをまとめた「進化の可能性に関する情報バンク」や人工システムが歴史を通じて発展してきた過程に何度も繰り返して観察される強い傾向をまとめた「進化のパターン/進化のライン」を利用することで、対象として選択したシステム(製品、技術プロセスなど)を新しい世代のシステムへと進化させる企画の立案作業を支援する。
対象システムが望ましい状態で発展する姿、その過程で生じるおそれのある否定的な状況、ならびにそうした状況を回避し逆にそこから何らかの肯定的な作用を引き出す方策を示した実現可能なコンセプト群を得ることによって一つのゴールに到達します。
これまでにまとめたコンセプトを実行に移した後に、対象システムの今後の発展の過程で順次現実に発生すると考えられる進化上の事象の系列を、使うことのできる資源と、考えられる条件に基づいて予測し、出現順序に従って整理した「進化のシナリオ」を作成する。
1.プロジェクトの目的を設定する
2.システムの過去情報の収集と解析
(1)進化史上の主な事象と、それらの間の相互関係を明らかにした歴史マップを作成する
3.次の進化ステップの予測と問題抽出
(1)進化を阻害する主な力や制約を明らかにする
4.アイデア出しとコンセプト生成
(1)問題の状況を表した因果関係モデルを作成する
(2)方向付けられた進化の指針と、問題解決の指針を得て、指針に沿ったアイデアを創出する
5.進化シナリオの作成
(1)たどり着くゴール、必要な条件、現実的な方法を明らかにする
(2)必要となる資源を明らかにする
(3)進化上の問題を明らかにし、方策案を準備する
(4)必要な知的財産の保護の方策を講じる
6.行動計画の作成と実行
(1)パイロット・プロジェクトの計画
(2)システムの進化をサポートする
①計画からの逸脱の予測
②システムの進化状況の継続的モニタリング
③計画(システムの進化シナリオ)の修正
新商品・サービスの企画を提案するには、現在のところ、I-TRIZの「戦略世代進化(DE)」を使って「進化のシナリオ」を作成する方法以上に説得力のある手法はない。
ただし、その考慮しなければならない範囲が膨大であるため、「発明的問題解決(IPS)」のように、数カ月で結論を出すことはできない。
「戦略世代進化(DE)」の場合には、トライアルでも6カ月程度、正式には1年程度の時間を必要とするプロジェクトになる。
6アプローチ+7コンビネーション 発明の特徴に着目した発明発想法 2013年
(「発明のつくり方」、一般社団法人発明推進協会出版)
川北喜十郎
1つの課題に対して「6つのアプローチ」を検討することで、いくつもの解決方法や方向性が見えてくる。7つのコンビネーションのパターンの下で、具体的な発明の組み立て方が見えてくる。これらのアプローチとコンビネーションを検討することで、多くの発明が生まれてくる。
【6つのアプローチ】
(1)前処理・後処理アプローチ
(2)イメージングアプローチ(理想解のイメージ)
(3)技術分野別アプローチ
①制御的なアプローチ
②構造的なアプローチ
③材料的なアプローチ
④複合技術
(4)周囲利用のアプローチ
①周囲に存在する力やエネルギーの利用
②周囲に存在するものを利用する
(5)シーズ利用のアプローチ
①新技術の応用
②自然から学ぶ
③人間技や道具から学ぶ
(6)心理的アプローチ
【7つのコンビネーション】
(1)要素追加のコンビネーション
①性能・効率アップ
②付加機能の追加
③置換による追加
(2)要素削除のコンビネーション
(3)形態変更のコンビネーション
①配置変更
②形状変更
(4)数量変更のコンビネーション
①寸法変更
②割合変更
③マルチ化
(5)可動化のコンビネーション
(6)共通化・合体コンビネーション
①一部共通化
②取り込み
③融合
(7)分割のコンビネーション
(8)コンビネーションの更なる組み合わせ"
TOCイノベーションプロセス「E4V(Eyes for Value)」 関わるステークホルダーのすべてにウィン・ウィンのブレークスルーをもたらす方法論 2016年(日本)
ゴールドラットジャパン
世の中にWOW!と言わせるイノベーションを創り出すために開発されたものであり、特許性の高いイノベーションの発想が次々と出るために、一般公開のワークショップをすることが難しく、ゴールドラットグループの顧客向けにのみ、クローズな環境で開催されてきた。
日本では2016年にゴールドラットジャパンが公開セミナーを始め、2019年4月に解説書が出版されている。
E4Vのプロセスは以下のステップに従う。
1.価値を創る
2.価値を伝える
3.実現への道のりを創る
ステップ1「価値を創る」プロセスでは、「顧客の目」「市場の目」「商品の目」の3つの目で新商品の価値を創造していく。そして、まだ世の中にない商品のコンセプトをあたかも既に存在するかのような視点でとらえ、「WOW!カタログ」を創る。加えて、商品で語る中期経営計画「WOW!ロードマップ」も創る。

ステップ2「価値を伝える」プロセスでは、顧客の立場に立って、商品コンセプトを「変化の4象限」で見つめ直していく。その価値を顧客にどう伝えたらいいかを再考し、「市場の教育」の6つの質問で、新しい商品コンセプトをどうやって広めていくか、具体案を創っていく。

ステップ3「実現への道のりを創る」プロセスでは、その商品がビジネスとして成功するための仮説を創り、素早く検証する「仮説の検証」を行なう。また、失敗を学びに変える「ミステリー分析」、メンバーの志を1つにする「ODSC」、成功への道のりを描く「バックキャスト工程不応」、ステークホルダーの賛同を得る「断れない提案」などのツールを活用し、みんなの知恵を結集してWOW!と言わせる提案を創っていく。
ステップ1「価値を創る」プロセスは、I-TRIZのシステムアプローチに似ているが、「WOW!カタログ」「WOW!ロードマップ」を創る点が特徴的である。

ステップ2「価値を伝える」プロセスは、「変化の4象限」「市場の教育」のツールを使って「WOW!カタログ」をブラッシュアップして、ステークホルダーを説得できるビジネスモデルを追加する点で効果的である。

ステップ3「実現への道のりを創る」プロセスは、みんなで事業計画を創るための仕組みのように感じる。「ミステリー分析」はI-TRIZの不具合予測(FP)に相当し、「ODSC」は目的、成果物、成功基準を確認する手法であり、I-TRIZの問題状況質問票(ISQ)に相当する。

「断れない提案」はTOCでは「断ることができないほど魅力的である」という意味で「マフィアオファー」と呼ばれている手法であり、他にはない提案である。
I-TRIZの戦略的世代進化(DE)と親和性が高く、DEでは足りない部分を補うために使用するとよい。
デザインブレインマッピング(DBM) 特定個人のスキルに依存せず、チーム全体の力を底上げする手法と道具 2016年
国立研究開発法人産業技術総合研究所
構造設計コンソーシアム
産業競争力懇談会(COCN)や学会での議論、企業人インタビューを踏まえて、2008年から研究開発を始め、2014年からの国家プロジェクト(戦略的イノベーション創造プログラム(SIP))等で研究開発を加速し、構想設計コンソーシアムの企業をはじめとした検証の蓄積がある。
設計に参画するさまざまな専門領域の関係者の知識やアイデア等の暗黙知を明示的に可視化・共有することで、チーム間の双方向連携を支援する手法であり、道具としてのソフトウェアは協調や協業を目的にしている。
DBMのプロセスについては、Windows上で動作するDBMツール(ソフトウェア)のトライアル版が産業技術総合研究所のサイトからダウンロードできるので、そちらで確認することが可能。
1:問題意識のセンシング
(1)現状と理想の差を把握する
(2)阻害要因/環境要因を把握する
2:阻害要因/環境要因の原因分析
(1)因果関係推論
(2)プロブレム・リフレーミング
3.ステークホルダーとの関係性
(1)内部のステークホルダーとの関係
(2)外部のステークホルダーとの関係
4:相互主観性、whyの共有
(1)対話促進
(2)分布問題
(3)ポジション問題
5.顧客起点、UX
(1)マイナスからプラスへ
(2)顧客ストーリー
6.総意形成、実施計画
(1)駆動目的の導出
(2)ジャーニーマップ
7.解決効果のセンシング
(1)現状と理想の差を把握する
(2)阻害要因/環境要因を把握する
テーマを中心に配置して、ツリー構造を発展させながら思考を発散させる「マインドマップ」、指定された構造化フォーマットに必要事項を記入することでビジネスモデルを検討する「ビジネスモデルキャンパス」、ランダムに発生した複数のアイデアを共通グループにカテゴライズし、抽象化していく「KJ法」等は、元のデータ(因子)間の関係性が明示されないため、結果が次の行動(アイデアの実行段階)へ繋がらないことが多い。
それに対して、DBMは因子間の関係性を明示するだけでなく、メンバー間の関係性をも重視している点で既存の手法と異なっている。
そのため、複数回のワークショップを実施する際には、毎回、特定のフレームを使用する事前宿題を与え、メンバーの問題意識をセンシングしつつ当日のワークを考え、それを踏まえて次回の事前宿題をデザインするといった、毎回の振り返りと次回の準備が繰り返される。
組織の文化、メンバーの問題意識やキャラクターの違いによるメンバーの反応を見ながら、新たなフレームによるワークを進めていくので、ワークショップの成否はファシリテーターの属人的スキルに依存し、ファシリテーターには豊富な経験が求められる。