PF、KW(問題分析、一般的な問題解決)と他の類似手法との比較一覧

2015.07.27
問題分析、一般的な問題解決に関わる代表的な手法を列挙しました。(* I-TRIZの手法については背景色をラベンダー色としています。)
手法名適用分野等開発者
運用機関
手法の概要手法の手順I-TRIZと比較した利害得失
PF
(Problem Formulator)
問題のメカニズムの明確化、方針決定 1994年
アイディーション・インターナショナル社
アイディエーション・ジャパン(株)
問題状況を構成する要因を、主観的な観点からみて有益・必要と考えられる要因「有益機能」と、有害・無用あるいはコストと考えられる要因「有害機能」とに分けて、これらの相互関係を図式化しながら、認識を整理する目的で使用する。
PFはI-TRIZの各種手法に共通したツールであって、適用分野ごと(発明的問題解決、不具合分析と不具合の再発防止、不具合予測と不具合の未然防止、知的財産問題、次世代商品、サービスの企画、組織・経営問題)に最適な解決指針が提示される。
1.問題状況に含まれる主要な問題点、あるいは、主要な目的に関する機能(すなわち、作用、事象、プロセス、操作、効果)を複数のボックスに記載する。
2.機能同士を原因と結果の連鎖になるように矢印(リンク)で接続して、因果関係モデルを作成する。
3.問題解決のターゲットを、有害機能の排除、有益機能の改良、矛盾の解決から選択し、問題解決指針を入手する。
4.問題解決指針に対応するオペレータ(発明のパターン)を使って、アイデアを発想する。
問題解決のコツは、問題発生のメカニズムを解明することである。I-TRIZでは、問題発生のメカニズムを目で見てわかるように因果関係モデルで表現する。
「発明的問題解決(IPS)」では、因果関係モデルから問題を解決するための指針が、問題領域の全般にわたって網羅的に提示される。そのため、問題解決する側の都合に応じて、即効的解決と根本的解決のいずれか一方または両方を選択し、検討することができる。
KW
(Knowledge Wizard)
非技術的問題の解決 1998年
アイディーション・インターナショナル社
アイディエーション・ジャパン(株)
経営者、ファシリテーター、チームリーダーや他の専門家(問題解決の初心者も含みます)のために設計された「ナレッジ・ウィザード」は、人間 が関係するシステム(たとえば、団体、企業、部署、チームなど)の問題状況を分析、解決する強力な新しいツールである。
特に、可能性のある解決ルートを幅広い視野から見つけるために、問題状況について重要な情報を収集、構造化することを手助ける。効果的な改善をまとめ、実現する、「革新の原則」の強力なセットを体系的に適用する。
1.目標の確認
(1)システムアプローチ、資源把握
2.課題のモデル化
(1)プロブレムフォーミュレーションと方針決定
3.アイデアの発想
(1)オペレータを使ったブレーンストーミング
4.方策案のまとめ
(1)アイデアの分類
(2)方策案の単純化
5.結果の評価
(1)二次的問題の解決
(2)不具合の予測と予防
(3)進化のパターン/ラインの適用
(4)実行計画の策定
技術以外の一般的な問題解決向けの「ナレッジ・データベース(KW)」であれば、最初からプロブレム・フォーミュレーション(PF)との組み込まれているので、多くの知識ベースを有する本格的な「発明的問題解決(IPS)」を採用する前のI-TRIZの導入段階に使うとよい。
システム思考
(Systems Thinking)
システムズアプローチ
(Systems Approach)
システム工学
複雑な問題の解決技法 1956年
米国マサチュセッツ工科大学ジェイ・フォレスター
システムダイナミックスから生まれたシステム思考(システムズシンキング)では、数値シミュレーションによらず図示した構造からその特徴の把握を行ったり、ラフな振舞の予想をするために行われる。
物事をシステムとして捉え、その要素間の因果関係をグラフとして表し、その構造を利用して振舞の特徴把握や定性的な分析を行う考え方であって、システムの各要素は、環境やシステムの他の要素から分離した場合、異なる振る舞いを見せる(全体論的なシステム観を持ち、デカルトの還元主義と相対する考え)という前提に基づく。
システム思考では、全体のシステムを構成する要素間のつながりと相互作用に注目し、システムの改善、変革を検討する。
経営工学の分野では、システム思考を適用する考え方を「システムズアプローチ」という。
1.課題を設定し、クライアントを確認する
2.時系列変化パターングラフ(Sカーブ)を描く
3. 「今まで」のパターンの構造の仮説を立てる
4.フィードバック・ループ図を描く
→課題と関連するさまざまな関連要素がどのようにつながって構造を作り出しているか(因果関係:自己強化型ループ、バランス型ループ)を明らかにする
5.「このまま」のパターン(仮説)を確認する
6.構造の仮説を現場で確認する
7.「望ましいパターン」を創る働きかけを探る
8.システムの抵抗を予期する
9.働きかけ、抵抗への対策を選択し、実行する

*問題解決に当たっては、小さな力で大きく構造を変えられる介入点(レバレッジ・ポイント)を見つけるのがコツである。
外的刺激による精神的緊張を「ストレス」と名付けたハリス・セリエによれば、「天才とは、現実にとらわれない自由な世界で独創的な発想ができるだけでなく、これを現実世界に戻ってきて具体的に表現できる者である」という。
つまり、「現実の世界で認識した問題の本質を表現した現状モデル(As-Isモデル)の問題点を、この抽象化された世界で改良した改良モデル(To-Beモデル)を、現実の世界で実現するための具体的手段を検討する。」ことが天才の問題解決法といえる。
天才の問題解決法を常人が実行できるようにしたものがTRIZである。
「システム思考」のフィードバック・ループの考え方は、I-TRIZで因果関係モデルを作成するときに参考にすることで、より確度の高い考察が可能になる。
NM法 自然界や身の回りの技術の類比発想 1965年
中山正和
NM-T型は、最後に出されたコンセプトの中から、使えそうなアイデアを見つけだしていく。A型、S型の前段として行われることが多い。
NM-A型は、空間結合によるもので、T型で出たコンセプトを仮説を立てながら、一見関係なさそうなものにつながりを見つけだそうとするもの。新技術や用途開発などに使われる。
NM-S型は、時間結合によるもので、A型とは異なり、T型で出たコンセプトに因果関係を見つけ出し、関係づけようとするもの。営業戦略の立案などに使われる。
NM-H型は、装置や道具の改良などに使われる。アナロジーの背景を探った段階で、出てきた背景毎に、「これは使えないか」と問い直していく。
1.課題(TM)を決める
2.キーワード(KW)を決める
3.類比を発想する(QA)
4.アナロジーの背景を探る(QB)
5.アイデアをQBとテーマを結びつけて発想する(QC)
6.QCを使って解決案にまとめる(ABD)
「NM法」では、アイデア発想のヒントになるアナロジーを自然界や身の回りのものに求めるが、幼年期、少年期に自然に触れる機会の少なかった人には、それらのイメージがないため、これらのヒントが使えない。
I-TRIZでは、約500種類の発想概念(オペレータ)と約2,000の具体例がアイデア発想のヒントとして使用できるので、その点の問題はない。
KT法 問題解決と意思決定のプロセス 1965年
ケプナー
トリゴー
必要な情報を集め、的確な結論を合理的に導き出すための思考の手順(思考プロセス)を整理し体系化したもの。必要十分な情報を迅速に集め、「事実」に基づく的確な問題解決や最良の意志決定を行い、「思い込み」や「憶測」による誤りを食い止めることができる。
合理的な思考プロセスを組織の中での「共通言語」「共通アプローチ」「共通ツール」として用いることにより、組織の中に存在する多種多様な経験と知識を活かしつつ、問題解決や意思決定の精度と効率を飛躍的に向上させることができる。さらに、個々のメンバーのクリティカル・シンキング・スキル習得にも役立つ。
状況分析(SA:Situation Appraisal)
1.何が問題か(状況ステートメント)
2.その問題はどうなっているか(関心事と分離)
3.その問題を解決するには具体的に何をするか
(ステートメント化)
4.何から手をつけるか
問題分析(PA:Problem Analysis)
1.何がどうまずいか(問題ステートメント)
2.何がおきて何がおきていないのか(IS/IS NOT)
3.何が違うか(区別点、変化点)
4.考えられる原因は何か
決定分析(DA:Decision Analysis)
1.何のために何を決めるか(決定ステートメント)
2.具体的な狙いは何か(目標)
3.考えられる案は(MUSTとWANTを切り分け)
4.それを行うとどんなまずいことがあるか
潜在的問題分析(PPA:Potential Problem Analysis)
1.いつまでに何をしたいのか(実行ステートメント)
2.考えられるリスクは
3.リスクを起きないようにするにはどうするか
4.リスクが起こったときはどうするか
「KT法」は、その知識の習得と実践するための訓練について提供側による厳密な制限があるため、実務レベルで使いこなすまでにクライアント側の負担が大きい。
そのため、現場からのボトムアップによる導入が難しい。
I-TRIZは、オペレータや具体例の全部を参照することを望まなければ、その思考プロセスを身に着けること自体は難しくない。
ラレラル・シンキング
(Lateral Thinking)
水平思考
見方を変えて革新的な発想を生み出す 1972年
エドワード・デボノ
既存の枠に捉われずに、視点をさまざまに変えてみることにより問題解決を図る。
非連続的であり、結果が良ければ途中の過程は問題にならない。結論に達した後でも、さらに確実な方法を求めることができ、部分的に適切だという方法には固執しない。
1.思考を邪魔するもの(思い込み、常識)を取り除く
2.視点を変えてみる(鳥の目:マクロ、蟻の目:ミクロ、魚の目:トレンド)
3.思考パターンを変えてみる
4.前提(制約条件、課題、目標)を疑う
5.前提を変化させる(評価軸を変える)
6.組み合わせる(オズボーンのチェックリスト)
7.アイデアを出し、実践・評価する
論理的思考では発想できないアイデアを求める際には、視点を変えることが当然必要になる。
「水平思考」は、視点を変えるという意味では、I-TRIZのシステムアプローチと同様の効果が得られる。ただし、システムアプローチには、問題解決に役立つ資源を探索するという別の目的もある。
比較発想法 1974年
金野正
われわれは、あるものについて頭の中で思い浮かべているときでも、実際はそれとは別のあるものを持ってきて、この二つを並べて考えていることが多い。それだけではなく自分ではまったく意識しないうちに何かほかのものと比べていることも少なくない。つまりはっきり意識していようといまいと、日常生活ではしばしば我々は「比較」を行っている。そのような従来からある思考過程をそのまま活用して、比較による発想を取り入れたものである。
比較には、分析という足元を固める目的のほかに、新しい発想を得るためと、得られた発想を評価するための、大きな目的がある。
1.ある対象Aを取り上げ、その中で本質的と思われる要素に注目する。
2.他のものは気にしないで、それだけを取り出す。
3.それを核として必要な要素を補足し、別の対象Bに仕上げる。
「等価変換理論」を使いこなうのは難しいが、「比較発想法」なら異分野の知識を積極的に利用することが比較的容易である。ただし、異分野のアナロジーを自分で探さなければならないのは両者とも同じである。
I-TRIZでは、事前に異分野の知識を利用するためのデータベースが備わっているため、自らアナロジーを探しに行く手間が省ける。
PMD
(Purpose Measure Diagram)
目的と手段の関係を明らかにする 1976年
江崎通彦
われわれが意識することなく行っている課題実現のための考え方、手順、行動を具体化し、問題の解決を図るための手法である。
課題実現のための思考や行動の条件を明らかにし、さらにそれを手順化して、目で見えるように展開したものである。
1.テーマの決定
2.「要するに、何をしさえすればよいのか?」の質問に対する答えのカードを作成する
3.そのカードを「...を...する」ために「...を...する」という順序で、上の方を目的、下の方を手段の関係で図のように縦に並べる
4.カードの過不足を調整してダイヤグラムを完成する上の方は、抽象的な上位目的、一番下の表現は、その目的を実現するためには、「どこから手をつければよいかのエントランス・キーワード」が見えてくる。
「PMD」は、人間の価値観という視点では物事を捉えているため、目的と手段の関係を明らかにする。
I-TRIZのプロブレム・フォーミュレーション(PF)は、機能同士を原因と結果の関係で表しているが、見方を変えると、手段と目的の関係を表しているともいえる。
ステップリストの方法 思考や行動の手順書を作成する 1976年
江崎通彦
具体的な行動を起こすために、落ちのない思考や行動を段階的に手順化するための手法である。
各ステップの内容を「インプットの項目→事前保証活動→アウトプットの項目→事後保証活動」といった因果関係でまとめ、特定のステップの事後保証活動は次のステップのインプットの項目になるように、全ステップを因果関係でつなぐことで、課題を実現するための行動の手順書が完成する。
1.PMDによってメイン・キーワードとエントランス・キーワードを把握する
2.「試作または実行」の「アウトプット項目」にメインキーワードから見て適切なアウトプットの項目名を記入する。
3.「第一次情報収集」の「インプット項目」に1段階のアウトプットに必要なインプット要素を記入する。
4.3を使って2の最終目的を達成するためにはどのような段階(過程)を経て行けばよいかを割り付ける。
5.各段階のアウトプット項目に対するインプット項目事前保証活動、アウトプット項目、事後保証活動は次の段階に結びつく因果関係を持つものとする
6.できあがったステップリストの項目の過不足を調整してステップリストを完成する
I-TRIZによって得られたコンセプトを実装する場合に、どのような手順で実装に必要となる作業を進めたらよいかを知るには、「ステップリストの方法」を採用するとよい。
SIT
(Systematic Inventive Thinking)
構造化発明思考法 1980年代
Genedy Filkovsky
発明的解決策は,、どのありきたりの解決策にも共存していない二つの特有の性質を持っている。第一の性質は、新しい要素を加えられることがないこと(CW:閉世界条件)である。第二の性質は, 二つの変数の基本的な関係が質的に変化したこと(QC:質的変化の条件)である。 1.問題の定式化
問題解決の課題の目標を二つの十分条件を用いて設定する。CW条件が現在の制約に追加され、一方、QC条件が目標を変更する。
2.必要とされる物理的目標状態を導く概念的解決策を定式化し、3へ進む。
3.新しい操作を実行する仮想的なオブジェクトを追加することにより、システムが一時的に拡張される戦略(統合法、乗算法)を採用する。
4.2ができなければ試行錯誤のプロセスにおいて、既存オブジェクトたちとその組織の構造を変える再構築戦略(除算、可変性の増加)を採用する。
5.拡張戦略(修正)または再構築戦略(移行)により、アイデアを発想する。
機能を決定する前に一つの形を創ることによってアイデアを作り出すことは、心理学者のロナルド・A・フィンクらによって、「形に機能がついてくる」思考として発表されている。多くの実験の結果、ロナルド・A・フィンクらは、「機能より前に形を決定するように制約されたとき、被験者各人は一層創造的になる」ことを示した。
このような考えは、I-TRIZの「進化のパターン/ライン」を使ったアイデア発想法の思考プロセスと同じであり、その有効性が立証されていると考えてよい。
ソリューション・フォーカス 人と組織の問題を解決する解決志向のコミュニケーション心理学
人に関する問題を解決するには、人とコミュニケーションをとる必要がある
1980年代半ば
スティーヴ・ディ・シェイザー
インスー・キム・バーグ
通常、何か問題があるとき、その問題や原因について考える(問題思考)が、ソリューション・フォーカスでは、問題が解決された状態やすでに解決されている部分について考える(解決思考)。
【3つの原則】
1.壊れていないなら、修復するな
2.一度やってうまくいったなら、またそれをせよ
3.うまくいっていないのであれば、何か違うことをせよ
1.うまくいっているところを探す(成功ポイントの発掘)
2.例外を探す(例外的な成功を見つける)
3.なぜうまくいっているのか考える(成功原因の追究)
4.すでにできていることの中で、繰り返せることを探す(成功状態の拡大)
5.すべてがうまくいっている状態を、明らかにする(成功状態・理想状態の明確化)
6.小さなゴールを設定する(現実的な未来の構築)
7.スケーリング(状態を数値化する)
特別なツールを使うことなく、「これはリソース(問題を解決するために利用できるすべてのもの)にならないだろうか?」と考えるようにしていると、解決の糸口がそこから見つかるようになってくる(TRIZの利用可能な資源)。
未来を現実のものにするには、自分を、すべての問題が解決したという理想の状態に置き、そのうえで、そのとき何が起こるのかを考え、明らかにする(TRIZのSLP法)。
リアリティーがあるように具体的に詳細にイメージしていくことが、解決へ向かう秘訣である。
TOC思考プロセス
(Theory of Constraints/ Thinking-Process)
目標実現のための体系的な問題解決アプローチ 1990年代前半
ゴールド・ラット
日本TOC協会
組織が目的達成に向けて活動するうえでの本質的な問題を発見し、それを解決した""あるべき姿""を描き、それを実現するためのプランを策定する体系的な問題解決アプローチである。
何を変えるか?:変えなければならない本質的な問題を見つける。
何に変えるか?:「何を変えるか?」で見つけた本質的な問題に対する解決策を見つける。
どのように変えるか?:「何に変えるか?」で見つけた解決策を実行するための計画を策定する。
1.「何を変えるか?」を見つけるために、「現状構造ツリー」を作成する。
2.「何に変えるか?」の手段を決めるために、「対立解消図」を作成する。
3.2の手段を採用した結果を予測するために「未来構造ツリー」を作成する。
4.「どのように変えるか?」という段階で、最終的に決定した解決策を実行のための「前提条件ツリー(ロードマップ)」を作成する。
5.ロードマップに沿った解決策の実行計画である「移行ツリー」を作成する。
I-TRIZの各種手法(発明的問題解決(IPS)、不具合対策(FA、FP)、知的財産権制御(CIP)、次世代商品、サービスの提案(DE)、人、組織・経営問題(KW))に共通に使用されるツールとして、因果関係モデルがある。
「TOC思考プロセス」で使用されている各種ツリーは、機能同士の目的と手段または原因と結果を表しており、主に人や組織の問題を解決するために使用される。
I-TRIZで使用している因果関係モデルは、適用分野ごとに最適な解決指針が提示される点に特徴があるので、I-TRIZのKWが「TOC思考プロセス」を進化させ得る。
TOCfE
(TOC for Education)
教育のためのTOC
「ちゃんと」考えるためのツール 1995年
キャシー・スエルケン
TOCツールと、先見の明がある世界中の教育者のシナジーを考え、子どもと大人が効果的に考え、コミュニケーションが図れるようにすることにより、子どもと大人の教育を著しく改善する。 「ロジック・ブランチ」で、出来事、概念、主張間の原因とその結果を調べる(何を変えるのか?問題は何か?)。
「クラウド」で、思い込みを見つけて、「あちらを立てればこちらが立たず」の対立状況を解消する(何に変えるのか?解決策は何か?)。
「アンビシャス・ターゲット・ツリー」で、前向きで、大変望ましい目標であり、その達成には困難が伴うため、挑戦しがいがあると仮定されている目標を達成するための戦略的計画を立案する(どうやって変えるのか?どうやって変化を導入するか?)。
「TOCfE」は「TOC思考プロセス」の教育関係者版という位置づけである。
I-TRIZの簡易版として、アイディエーション・ブレーンストーミング(IBS)とプロブレム・フォーミュレーション(PF)との組み合わせがあるので、I-TRIZの導入段階に使うとよい。
目的発想法 経営、仕事、人生を目的、手段の体系と連鎖で考える 1995年(出版)
村上哲大
人が何かの行為を行うに際して、対象とする物事の機能を明らかにし、その中から最善の目的、最適の手段を選択し、それら目的・手段を体系化してゆく発想法である。 1.行動に関係する関心事等
2.取り組むテーマを決める
3.テーマに関する機能を収集する
4.テーマを目的語にして能動態で表現する
5.手段を発掘する
6.実施項目を決める
7.実行計画を立てる
8.段取りを考える
9.手順を決める
10.目的を考えて最端末行為を行う
「目的発想法」では、目的・手段を体系化していく際に、目的と手段の系統図を作成する。
I-TRIZの「発明的問題解決(IPS)」では、既に問題を抱えているシステムを対象とすることが多いため、原因と結果の因果関係モデルを作成する。
イノベーションを起こすような問題解決を行うなら、目的自体を疑うことも必要になる。そのため、目的手段モデルを使った目的展開が必要となる。
パパ・ママ創造理論 システム観に基づいた創造理論
(ブレークスルー思考を進化させた創造理論)
2004年
日比野省三
形や現象ではなく、その物事の「目的」を考え、「どうあるべきか」という観点から問題を解決する。創造とは異種の組合せであって、異種を統合する「軸」は「目的」である。
目的(パパ)を変えると、タイプの違う新しいアイデア(赤ちゃん)が生まれてくる。
アナロジー(ママ)の構造である「コンセプト」を移転することで新しいアイデア(赤ちゃん)が誕生する。
1.課題の設定
2.場の設定
いつ、どこ、だれ
3.目的展開
優れたパパを見付ける、目的展開し再定義、着眼
目的を決める
4.価値観
優れたパパの衣装、大金を払う価値があるか?
5.ママの衣装
異分野の優れたママを見付ける、例えば・・・のように
6.ママの構造
目的を実現できる構造は何か
7.赤ちゃんの獲得
優れたパパの価値観を達成できる赤ちゃん
8.赤ちゃんの命名
ターゲットコンセプトを決める
9.企画計画
「パパ・ママ創造理論」は「ブレークスルー思考」の簡易版という位置づけである。
I-TRIZでは、技術以外の一般的な問題解決向けの「ナレッジ・データベース(KW)」という手法があるので、I-TRIZの導入段階に使うとよい。
サウスビーチ・モデル
(Southbeach Model)
思考モデル記述のための汎用ソフトウエア 2008年
Howard Smith
M. Burnett
Chrysogon Young
Southbeach Solutions 社
TRIZのソフトウエア(特に Ideation International 社のソフトウエア)の原因-結果のダイアグラムの表記に触発されて、それをもっと一般的にし、いろいろな思考モデルを自由に描くことができるようにしている。
2006年はじめには P-TRIZ (Process Innovation TRIZ)という考えがたびたび記述されている。そして、(思考)モデルを表現するための記述法として「Southbeach 表記法」が2008年に作られ、ソフトツールへの実装された(TRIZホームページより)。
状況を表現するには、「箱と線」のダイアグラムを使っている。箱でものやことを表し、線(矢印)でそれらの関係を表す。赤色で有害なもの(例えば、問題)を表し、緑色で有用なもの(例えば、解決策)を表し、状況を多様な角度から表現・分析できる。そして、問題解決のために合意した行動を青色で書く(TRIZホームページより)。 Southbeach社は、同社およびユーザが作成した多数のモデル (現在250余)を、フリーの Southbeach Modeller から常時簡単に参照・利用できるようにしている。それらはライブラリとして分野分類されており、環境、財政、将来、健康、政治、イノベーションのフレームワーク、コンサルティングの方法、などがある(TRIZホームページより)。
解決指針が入手できるところも、I-TRIZと同じである。